「同じ」なのか:東京新聞

『黒人オバマ候補 「同胞」に不人気?』


 東京新聞、8月19日の記事だ。


 『「彼は十分に黒人と言えるのか」。2008年次期米大統領選挙の民主党有力候補のオバマ上院議員(48)に対し、こんな議論が飛び出し、黒人層への支持拡大の障害になっている』という。


 建国初の黒人大統領となる可能性があるオバマ氏が「疑惑の目」で見られているのは、その祖先が奴隷ではないからだという。
 オバマ氏の父親はケニア出身で、1953年にハワイ州に留学し、その後、米国籍を取得した。母親はカンザス州出身の白人だ』そうで、『「黒人差別の歴史」を共有していない』と黒人社会に認識されているのだとか。
 だから、オバマ氏は、『「あなたは黒人といえるのか」という質問』を受けるし、それに対して、妻のミッチェルさんは、『「誰もが黒人かどうかという質問で遊んでいる。こんなバカなことはやめてほしい」と訴え』るそうだ。


 にわかに信じがたい話だが、黒人小説家、バーバラ・ニーリイのミステリー「ゆがんだ浜辺」(早川書房)を読んでいれば、黒人同士が肌の濃さや出自で差別しあうということは、米国の黒人社会ではごく一般的なことのようだということが分かる。


 記事は、『同国の黒人社会は同じ肌の色を持つオバマ氏を全面的に支持しているわけではない』と書くが、オバマ氏の母親は白人であり、そもそも”カフェオレ色”のオバマ氏を、「同じ肌の色」と認識しているのは、ほんの一部の「漂白された」黒人だけなのが現実かもしれない。