バレンタイン粉砕:東京新聞

『バレンタインデーに異議! 「失われた世代」非モテ男』


 2月14日の東京新聞、「こちら特報部」の記事で、サブタイトルには『将来語れぬ恋愛格差』とある。


 『恋人たちでにぎわう東京・渋谷。バレンタインデー直前の日曜となった10日。この街をデモ行進する若者たちがいた。「バレンタイン、反対!」「恋愛至上主義、はんたーい!」。シュプレヒコールに、道行く人が振り返』ったそうな。
 クリスマスなど恋愛が盛り上がるとされるシーズンごとに、「恋愛の商業主義化を認めない」といった抗議活動をしている「革命的非モテ同盟」が主催したもので、デモした十数人は、学生やフリーターなどの20〜30代が中心。『バブル経済崩壊後の「失われた10年」と呼ばれる就職氷河期に社会に出た男性たちだ』という。


 もっとも、デモに参加した非正規雇用の男性が、正社員には未来の展望があるとして、『展望があれば、多少見かけが悪い男にも女性はついていくでしょう?』とコメントしているのを見ると、「そんな女性観だからモテないんだよ」と警告したくもなる。
 が、モテるかどうかともかく、『年収が上がれば既婚率もアップ』することは確かなようだ。


 記事では、労働政策研究所などが2002年に調査した「20代後半男性の年収別の既婚率」をグラフで示している。
 それによると、年収200万円未満の場合の既婚率は20%以下、同400万円未満は40%以下で、同600万円台でほぼ60%になり、1000万円以上では実に80%近くが20代で結婚しているという。


 そのため、「バレンタインデー粉砕デモ」を企画した古沢克大書記長は、『僕たちを取り巻く現代の社会構造的な問題がある』として、『恋人たちが仲良くするのを非難するつもりはない。社会を変えたい自分たちの主張を伝えていきたい』と話しているそうだが。。。

都立朝鮮人学校:東京新聞

(謹賀新年。今年も、ぼちぼちよろしく)


『サッカー「都立朝鮮人学校」55年に4強』


 東京新聞1月14日の朝刊で、読者から同紙に寄せられた声(おもに苦情)を紹介する「応答室だより」だ。


 『全国高校サッカーは都立三鷹高校がベスト8の大活躍でしたが、昨年大みそかの同校の初戦突破記事「第30回大会の大泉以来56大会ぶりの都立勢による白星」に、川崎市の男性から「私の出身校、東京朝鮮人学校は都立校として第33回大会で準々決勝まで進出している」』との指摘があったという(正確には準決勝)。


 どういうことかと思ったが、『戦後一時期、朝鮮戦争に絡むGHQ政策などで、都内の朝鮮学校は閉鎖、都立朝鮮人学校となり、その時代にベスト4入りを果たしています』という。
 そんな歴史があったとは、まったく知らなかった。


 が、新聞各紙も、東京新聞同様に、知ってか知らずか、「都立朝鮮人学校」を無視して、三鷹高校の準々決勝進出を都立として「初の快挙」と報道したようだ。
 かつてベルリン五輪のマラソンで優勝したソン・ギジョン選手のように、植民地化されたために、日の丸を付けて走らざるを得なかった歴史もあるが、同じく同紙が言うように、『埋もれさせてはいけない歴史』だ。


 ちなみに、全国大会ベスト4のメンバーには、総連のホ・ジョンマン副議長も含まれていたのだとか。
 在日コリアン社会におけるサッカーの浸透度を物語る逸話ではないだろうか。

通勤デモ:毎日新聞

 『金子徳好さん83歳』


 11月27日、毎日新聞朝刊の訃報だ。


 『(かねこ・とくよし=平和活動家、ミニコミ研究家、映画監督の金子修介さんの父)26日、心筋梗塞のため死去』と簡潔に伝えている。決して大きな扱いではない。
 しかし、同紙を含めて、読売、東京が訃報を掲載し、朝日も翌27日に掲載した。
 というのも、金子さんは、『ベトナム戦争中の1965年から8年間、「アメリカはベトナムから手を引け」など反戦ゼッケンをつけて勤務先に通う通勤デモを続けた』ことで知られる人物だからだ。


 15年以上前、金子さんの話を聞く機会があったが、「通勤デモ」を始めるときに、「反対してくれるだろう」との期待(?)をこめて妻に相談したところ、「どうぞ」と言ってその日のうちに妻がゼッケンを作ってしまい、引くに引けずゼッケンをつけて電車に乗ったという。「その恥ずかしかったこと…」と言っていたのが、とても印象深い。


 その後、完全に米軍が撤退するまで8年の歳月を必要とするとは思いもしなかっただろうが、金子さんと同じくゼッケンを付けることを恥ずかしいと思う自分が、「アメリカはイラクから手を引け」とのゼッケンを付けて通勤できるかを自問せざるをえない。


 それにしても、この訃報を唯一掲載しなかった”モノを言う新聞”産経新聞は、なにが言いたいんだろうか。

心痛む者同士:朝日新聞

『陛下「琵琶湖のブルーギル 心痛む」』


11月12日、朝日新聞の夕刊だ。


 天皇が、11日に滋賀県大津市で開かれた「全国豊かな海づくり大会びわ湖大会」に出席し、『外来魚ブルーギルが異常繁殖し、琵琶湖の漁獲量が大きく減ったことに触れ、「ブルーギルは50年近く前、私が米国より持ち帰り、水産庁の研究所に寄贈したものであり、当初、食用魚としての期待が大きく養殖が開始されましたが、今このような結果になったことに心を痛めています」』と挨拶したという。


 『宮内庁によると、天皇陛下は皇太子時代の1960年にアメリカを訪問した際、シカゴ市長からブルーギルを寄贈され、食用や釣りの対象になればと水産庁の研究所に寄贈した』そうで、その後に分与された滋賀県水産試験場からブルーギルが逃げ出し、繁殖したとされている。
 そのため、鮒寿司の原料となるニゴロブナや、琵琶湖特産のホンモロコが激減。それらを好んで食してきた滋賀県人は、「天皇が(その昔は、「皇太子が」と言っていた)、いらんことするから」と小声で愚痴ったもので、それこそ滋賀県では、小学生から100歳まで、誰もが知る「公然の秘密」だった。


 しかし、当の天皇が、『一般水域に入ったブルーギルが生態系を壊したことについて以前から残念に思って』いたというのだ。
 言葉によって、琵琶湖の生態系が戻るわけもないのだが、皇太子(現天皇)に悪態をついてきた元小学生としては、はからずも感動した。


 被害を受けたと思っている人にとっていちばんつらいことは、加害者が加害事実を認識していないことではないかと思う。
 その意味で、少なくとも「以前から残念に思って」いたのが事実なら、被害者のつらさの大半は解消されたと言ってよいと思う。
 そこから先は、英知を集約して、ブルーギルブラックバスを駆除するだけでない、「共生」の方法が生み出されることを願うばかりだ。


 さらに天皇は、『側近に「おいしい魚なので釣った人は持ち帰って食べてくれれば」などと話していた』そうなので、スポーツフィッシングが趣味だという御仁らも、お言葉通りに釣った魚はきちんと持ち帰っていただきたいものだ。

なんの話?:産経新聞

『恋人から暴力、若者の半数経験 内閣府調査』


11月10日の産経新聞の記事だ。


 『若い世代の男女の約半数は、恋人から精神的暴力を含むドメスティック・バイオレンス(DV)を受けた被害経験のあることが内閣府の調査で9日、分かった』というもの。
 『調査は今年9月、インターネットを通じて16〜29歳の男女を対象に実施し、358人から有効回答があった』とのことで、『恋人から暴力の被害を受けた経験がある人は、男女とも50%に』と報じている。


 見出しと記事の前段を読むとまじっすか!? というのが第一印象だし、内閣府の調査ってことで、鵜呑みにしてしまいそうだが、よく読むと、なかなかの「トンデモ調査」のようなのだ。


 というのも、受けた暴力の内訳(複数回答)で、最も多いのが男女とも、「恋人が急に機嫌が悪くなったり、いつも気を使わされる」で、2番目が、「行動を制限される」で、以下「貸したお金を返してもらえない」などが続く。


 たしかに精神的にはつらいかもしれないが、一般的にいって、「暴力」というのだろうか。
 しかも、最多の「いつも気を使わされる」なんてのは、人間関係のキホンのひとつではないのだろうか。というか、その状況をも楽しめるのが恋愛状態で、楽しめないのがアカの他人ってことでは??


 あと、どういうわけだか、「携帯電話による被害」を受けたかと特別に質問していて、産経新聞は、『携帯電話に関する被害が目立っており』と論評している。
 が、その「被害内容」で最多のものは、「電話に出なかったり、メールにすぐ返事を出さないと怒られた」というもの。


 わたしもかなりのワルのようだ。。。

美醜:東京新聞

『復帰組の攻撃陣がカギ』


11月7日の東京新聞だ。


 北京五輪を目指す男子サッカー日本代表の候補となる選手たちが6日から合宿している件で、『代表候補の合宿は、タイプの違うアタッカーの競演となった』と現地をルポしている。
 『ドリブラーのカレン、身体能力が高い興梠(鹿島)らがポストプレーヤーの平山らと競い合う』状況で、ほかにMFの梅崎らも合宿に参加しており、『危機に呼ばれた復帰組の戦意は当然高い』そうで、『7日の練習試合は激しいアピールの場になるはず』という。
 その練習試合で、大学生を相手に0−0の引き分けに終わったのはともかく、この記事の締めがおもしろい。


 なぜなら、さまざまな選手を合宿に招いて、その中から代表選手を選出する監督に関して、『反町監督の審美眼も問われる』とあるからだ。


 審美眼?
 広辞苑に意味を聞いてみた。
 『美しいものと醜いものとを見分ける能力』とある。
 「反町監督の選手を見極める力も問われている」の間違いかと思ったが、その後の同紙で訂正などの記事が掲載されていないところを見ると、確信的に書いたのだろう。


 だとすると、北京五輪の出場をかけた戦いにおいて、「美しい」ものと「醜い」ものでは、どちらがより有用だと記者は思っているのだろうか。
 美しくて強い、ってあんまなさそうだからなぁ。。。

CM:朝日新聞

『「正解はCMのあと」は逆効果 視聴者86%「不愉快」』


11月6日、朝日新聞の記事だ。


 『場面を盛り上げるだけ盛り上げておいてから「正解はCMのあとで」「最新情報はこのあとすぐ」。こんなテレビの「山場CM」が多い番組に視聴者が不快感を抱いていることが、榊博文・慶応義塾大教授(社会心理学)らの調査で明らかになり近著で発表された』というもので、『テレビ局側の思惑とは裏腹に、そうしたCMへの好感度が低くなり商品の購買意欲も下がる』と結論付けている。


 「山場CM」というのは、榊先生の命名なんだそうだが、学生ら約700人にアンケートしたところ、CM明けまで引っ張るバージョンについては86%が「不愉快」とし、CM明けに同じ内容を繰り返すバージョンには、『74%が「イライラする」と回答した』という。
 っていうか、アレを不愉快とも思わず、イライラもしない人がいることに驚くが、『山場CMの商品について42%が「好感が持てない」、34%が「買いたくない」と回答』しているのは、多いのか少ないのか。


 また、全CMに占める山場CMの比率を国別に比較したところ、『日本の40%に対し米国は14%で、CMのタイミングが法律で規定されている英国は6%、フランスにいたってはゼロだった』そうだ。


 日本では、CMは企業の自由だと信じられているが、多くの国はそうではない。
 資本主義国でも、たとえばノルウェーでは、ビールのCMはできても、ビールを飲み干すシーンは放送できない。
 さらに資本主義発祥の地(イギリス)で、CMのタイミングを規制しているとは知らなかったが、日本でもタバコのテレビCMが排除された実績があるわけだし。


 それにしても、『CM明けについての説明は親切に告知する意味合いもあると思うが、視聴者の声に対しては謙虚に耳を傾け、その感性に敏感でなければならないと考えている』とのテレビ局のコメントには、失笑するしかない。
 「身内」のテレビ朝日のコメントなんだけど。