旗色鮮明:産経新聞

『小田実さん死去』


 産経新聞、7月31日の記事だ。


 『「ベトナムに平和を!市民連合(ベ平連)」元代表で市民運動をリードし、旅行記「何でも見てやろう」などで知られる作家、小田実(おだ・まこと)さんが30日午前2時5分、胃がんのため東京都内の病院で死去した。75歳。』との訃報記事が、参院選の結果に埋もれるように掲載された。
 各紙とも、ベ平連がはたした役割や、1995年の阪神淡路大震災後の生活再建支援法制定に小田さんが尽力したことなどをほぼ肯定的に報じている。


 その中で、『半面、ベトナム全土の共産化を現在に至るまで「解放」と呼び続けたことや、日本の戦争責任などに関する過剰に自虐的な歴史観に対して批判も少なくなかった』と論評した産経は、独自色を鮮明にしているともいえる。
 ただ、文字通り「死人に口なし」の人物に向かって論争を挑むかのような書きようは、池乃めだか風で、かっこ悪いことではあるけれど。


 ちなみに、『今春、末期がんであることが分かり、知人らにあてた手紙で病状を明らかにしていた』と、さも知人以外には公表されていなかったかの印象を与えるが(朝日新聞にもほぼ同様の記述があった)、東京新聞においては、その知人のひとり瀬戸内寂聴さんが、早くから病状を明らかにしていたことを付記しておきたい。