望む?:東京新聞

『赤ちゃんポストに2児』


 6月17日、東京新聞の記事だ。


 『親が育てられない赤ちゃんを匿名で受け入れる熊本市の慈恵病院の「赤ちゃんポスト」(こうのとりのゆりかご)に、赤ちゃん2人が預けられていたことが16日、分かった』というもので、これで「ゆりかご」に預けられた子供は想定外の3歳児を含めて3人になったという。
 『同病院や「ゆりかご」の設置を許可した熊本市は、預けられた子どもの情報について「年に1回、件数のみ」開示するとしている』のだが、東京新聞は、『赤ちゃんの預け入れが相次いだことに福祉関係者は大きな衝撃を受けており、議論の基となる情報開示の在り方を含めて、あらためて議論を呼びそうだ』としている。


 しかし、わたしは、預けられた子供の数などを逐次開示しなければならない理由がまるで分からない。百歩譲って、福祉関係者がそれを知る必要があったとして、マスコミが報道すべき理由はなにもない、と思う。


 「ゆりかご」は、安全な状態に保たれていることから、たとえ子供を預け入れても乳幼児の遺棄罪などには問われない。いや、たとえ問われたとしても、それを知るべき/知らせるべきだという理由はどこにあるのだろうか。
 「ゆりかご」は、ドイツなど諸外国にもあるそうだが、そこに先月に何人の子が預けられたかを知る必要がなくとも、熊本のは知る必要があるとは、これいかに。


 いや、どうしても「ゆりかご」に預けられた子供の数を知りたい/知らせるべきという人は、同じ期間内に望まない妊娠のため中絶された胎児の数、ならびに出産したものの育てられる可能性がなく死なされた赤ちゃんの数などを同時に知るべき/知らせるべきではないのだろうか。


 そして重要なことは、その望まない妊娠をさせた男の総数も報道し、その数字を胸にしながら日々の生活を送るべきではないのだろうか。
 少なくともわたしは、そんな暮らしを望まない。