笑止:スポーツ報知

『亮子に子離れ指令!』


 6月14日、スポーツ報知のWEB版に配信された。


 『全日本柔道連盟の吉村和郎強化委員長(55)が13日、リオデジャネイロ世界選手権(9月)で出産からの復帰Vを目指す女子48キロ級・谷亮子(31)=トヨタ自動車=に「柔道専念」を勧告した』というもので、サブタイトルには、『柔道に集中しろ』とある。


 4月の全日本選抜体重別選手権で敗れた谷を、あえて世界選手権の代表に選んだ責任者でもある吉村和郎(55)だが、『「これからは柔道に集中していかないといけない。(育児との)2足のわらじではきつい」と子離れを勧め』『谷の母・和代さんには大会までの育児のサポートを求め』たというのだ。


 谷は先日の国内合宿に子供を連れて参加。来月のスペイン合宿にも連れて行く予定だったが、これに対して吉村和郎(55)は、『いくら子どもがかわいくても、代表になったらそうは言ってられない』として、子供の同行は『ないだろう』と話したという。


 率直に言って、私は谷選手のこれまでの言動に対して、ほとんど共感したことがない。
 世界で戦うアスリートが「ちゃん」付けで呼ばれることに抗議もせず、また、幼女のごとき髪型に固執する姿には失笑を禁じえないと言っていい。
 しかし、そのことと、この吉村和郎(55)の暴言を許していいかは別問題だ。


 谷は赤ちゃんがかわいいから育児をしているのか。かわいくない、いやこの子さえいなければ、と思ったことが決してないとなぜ言い切れるのか。
 しかも、谷は乳腺炎を患っているという報道もある。私は経験がないが、その痛みは陣痛を上回る「苦痛」だと聞く。
 にもかかわらず、夫に育児休暇を一日もあたえず、野球ばかりやらせている雇用主をなぜ糾弾しないのか。組織において唯一無二の稼ぎ頭の子の育児を、なぜその母親に押し付けることができるのか。吉村和郎(55)は。


 アッタマに来ることばかりだが、その極めつけは、『すべては3か月後に迫る世界選手権で勝つための“非情指令”』などとのんきなことを書いていてるのが、夫に育児をさせない会社の関連会社=報知新聞社だということだ。