目的は?:朝日新聞

『南極のごみ 回収ツアー NGO企画』


 6月7日、朝日新聞の記事だ。


 ピースボートが、『南極のごみを持ち帰るツアーを企画している』という。
 『08年1月に出発する世界一周の旅で実施する』そうで、『ごみ回収のために上陸するのは乗客約900人のうち160人』だという。


 アルゼンチンの耐氷船で上陸することから、同国の南極基地のごみを回収するというのだが、そんな大人数で上陸してでも、ごみ回収する価値があるものなんだろうか。そもそも、基地のごみは、その基地を設置している国が責任もって回収すべきではないのか?


 いろんな疑問が浮かぶが、アルゼンチンは、いまもって南極の領有を主張しているし(南極条約に加盟はしているが)、回収したごみは、『南極の環境問題を訴える展示会などで利用する』というが、これもよく分からない。
 ごみを「利用する」って、ヘンな日本語だが、記事の冒頭には、もっとヘンな一文があった。
 ピースボートを説明しているのだが、朝日新聞いわく、ピースボートは、『国際交流を目的にした観光の船旅を企画しているNGO』だそうだ。


 「国際交流」「観光」は対立する概念ではないが、矛盾する面はなくはない。
 「観光」は、その土地を訪れた人が景色や風物、あるいは食べ物など、なにかを一方的に受け取る行為であって(快・不快は関係なく)、交換(英語でのExchange、スペイン語でのCambio)することでお互いが何かを与えたり、受け取ったりする「国際交流」とは、本質的に目的が異なると思うのだが。


 「国際交流などを目的にした船旅を企画しているNGO」じゃダメだったのだろうか。
 あるいは、「観光の船旅を企画しているNGO」にすればスッキリするのにね。