オタクと新聞人:読売新聞
『画像サイト管理人逮捕』
5月24日の読売新聞の記事だ。
『インターネット掲示板「画像ちゃんねる」にわいせつな画像を掲載したとして、神奈川県警生活保安課は23日、運営会社「ティーネット」社長三条場孝志(34)、社員高橋宏昭(50)ら7容疑者をわいせつ図画公然陳列の疑いで逮捕した。』というもので、『ネット掲示板の管理人を同容疑で逮捕するのは極めて異例』だという。
「画像ちゃんねる」は、2002年に開設された掲示板で、『わいせつ画像が約102万件、閲覧件数が昨年1年間で約7362万件に上』るそうで、『三条場容疑者は「閲覧できるように設定したが、勝手に載せた人が悪い」と供述している』。
いわば、週刊新潮が起こした名誉毀損事件において、新潮社の社長が逮捕されたようなものか。いや、それ以上に関連が薄い気もする。
しかも、ほかに『技術や営業担当の社員やアルバイトの5人』も逮捕されたという。
こうなると、画像ちゃんねるの違法性うんぬんよりも、ドイツの牧師、マルティン・ニーメラーの「詩」を想起してしまう。
彼は、第二次大戦中のナチスと自らの行動を恥じ、当時の状況をこう記した。
彼らナチスが最初共産主義者を攻撃したとき、私は声をあげなかった、私は共産主義者ではなかったから。
彼らが社会民主主義者を牢獄に入れたとき、私は声をあげなかった、私は社会民主主義ではなかったから。
彼らが労働組合員たちを攻撃したとき、私は声をあげなかった、私は労働組合員ではなかったから。
彼らがユダヤ人たちを攻撃したとき、私は声をあげなかった、私はユダヤ人ではなかったから。
そして、彼らが私たち教会を攻撃したとき、私のために声をあげる人は誰一人残っていなかった。
ナチが台頭した時代の共産主義者と、現代における「わいせつ」画像掲示板の管理人では、その「社会悪」の程度は、どちらが大きいのだろうか。
いや、そんな比較が重要なのではない。
このニュースを、対岸の火事として、あるいは警察の手柄として能天気に報道しているメディアの危機感のなさが問題だろう。
ちなみに、2002年にテレビゲームなど「有害なメディア」を規制する「青少年有害社会環境対策基本法」が上程された際、オタクの間ではこんな”パロディ”が流布されたそうだ。
日本政府がネトゲ、同人を弾圧した時、自分は同人オタではなかったので何の行動も起こさなかった。
次に、政府はガンダム、エヴァ、スパロボを弾圧した。しかし自分はアニメを見ないので 何の抗議もしなかった。
それから政府は、バイオハザード、ドラクエ、マリオと順次弾圧の輪を広げていった。それでも私は何も行動を起こさなかった。
ある日ついに 政府はワンピースを弾圧してきた・・・。その日とうとうテレビ番組に規制がかかった。そして私は一般人だった。やっとのことで、行動に立ち上がった。しかしその時はすべてが、あまりにも遅かった。
彼らの方が、ずっと「メディア規制」の本質を考えているのではないだろうか。