人間の解放:朝日新聞

『土からもらうエネルギー』


 5月20日朝日新聞『田舎で暮らす』というシリーズのひとつだ。
 漫談家綾小路きみまろさん(56)が、17年前から山梨県富士川口湖町に暮らしているというお話。


 『富士山が大好きで、以前からよく来てました』というきみまろさんが、都内から引っ越したのは、『世の中、ちょうどバブル経済が終わる頃で、私のほうは「バブル前」』と、うまいことを言っている。
 で、鹿児島の農家出身ということもあり、農作業が好きで、野菜荒らしのサルとの戦いがたいへんだと言いながらも、『週1回はここに帰ってきます。ほっとします。一瞬、「競争」から離れられる』と語る。


 さらに、『東京では人の顔色を見ながら「どうやって生きようか」ってなるけど、こっちでは「おれは生かされてるんだ」「どうやって死のうかな」って考えられる』と、(やや手垢にまみれた言い草だけど)他人との比較ではなく、本来の「自分」が取り戻せるかのようなこともおっしゃてます。


 でも、きみまろさん、競争や人の顔色をうかがうことから解放されても、それでもヅラですか〜っ斬り!(古すぎ)





 なんでだろうね。
 東京にいると人間性が蝕まれるようなことを言っておいて、その東京から離れても、他人の目を気にするものの最たるものであるカツラを手放せないのは。


 いや、ヅラが悪いと言いたいのではない。
 営業用のヅラは「キャラ」作りとして、何の文句もない。
 しかし、あたかも「東京を離れて、自然な自分を取り戻そう」的な記事において(そうとは書いてはいないんだけどね)、営業用ともちがう、若作りなヅラを着用することについて、記者は何のツッコミも入れなかったのだろうか(って、できないか…)。