モナー:毎日新聞

『薄っぺらな便利さに慣れてしまうと、世界は大変なことになる。』


 5月2日の毎日新聞朝刊を手にした人は、なにかの間違いかと思ったのではないだろうか。

 新聞全体が、淡い水色の写真が地になった新聞紙で覆われていたからだ。
 ゴミ捨て場を想起させる写真に、上記のコピーが書かれた紙をめくると、いつもの新聞が現れる算段になっている。



 環境問題、特にレジ袋の有害性を訴える内容になっていて、年間消費量が300億枚とも言われる現状について、『便利だから、無料だからといって気軽に使っていませんか?』と疑問を呈し、『レジ袋が生む様々な問題やその解決策について、読者の皆さんも一緒に考えてみて下さい』と訴える。


 その他の面でも、『クジラの胃から50枚も見つかりました。自然界でも、胃の中でも、レジ袋は消化されません』など、たいへん贅沢なスペースを使ったデザインで、様々な問題点を示している。
 また、レジ袋をゴミ袋として使うのは単に別の利用法であって、同じ使い道で何度も再利用する「リユース」とは違うなどの解説や、レジ袋の有料化によって消費量を8割以上削減した杉並区の実例なども示されている。
 連休の中日に、意欲的なインパクトのある企画だとは思う。


 しかし、一方で、こんな記事がある。 
オーマイニュースの記事


 「押し紙」といって、実際の販売部数より多くの新聞を印刷し、その代金を新聞販売所に支払わせているという新聞業界では常識であり、一般にはまったく知られていない非常識が内部告発されている。
 どうしてこんなことになるのかは、記事を読んでもらいたいが、簡単に言うと、名目部数が減ると広告料を下げざるを得ないからだとか。
 そうして、毎日新聞だけでも150万部近くの新聞が捨てられているのだ(しかも文字通り毎日!)。
 全国では、約1000万部が誰にも読まれず捨てられている(おそらくは焼却ではなく、毎日新聞言うところの「リユース」がされているのだろうけれど)。


 もちろん、読まれた新聞はムダではないのか、という理屈もあるだろう。
 しかし、はなから販売されないことが明らかな紙面を生産し続けるムダは即座に停止すべきではないだろうか。


 でないと、どうにも説教くさく、専売特許のマータイさんの来日に合わせたアリバイ的なこの企画に共感することはできない。