画竜点睛:佐賀新聞

『有明抄』


 4月15日の佐賀新聞、1面コラムを旅先で読んだ。


 有明海で今年夏の完成を目指して国が進めている干拓工事に対して異議を唱える内容で、滋賀県の穴あきダム建設においては、『工事用道路の予定地近くに絶滅危惧種のクマタカ雌雄1組の巣が見つかった』ために着工が延期されることになったとしている。


 それに対し、『わが有明海の諫早湾は、干拓工事のため約300枚の鉄板で閉め切られてちょうど10年。二枚貝の王者タイラギは激減しているが、湾閉め切りとの因果関係ははっきりしない』そうで、工事は止まることなく、『タイラギはクマタカをうらやましがっているかもしれない』と嘆く。


 さらに、事業着手からの20年間で農業を取り巻く環境は激変したとし、また、江戸時代から続く干拓についても、『近年の一挙に海を閉じてしまうやり方は、生物環境に及ぼす影響が大きい』と指摘する。
 地方紙において、巨大公共事業に異議を唱えるのは、とても勇気のいることと推察する。
 しかも、『ムツゴロウやシチメンソウなど干潟の動植物、潟スキーによる漁の風景は、住民が先祖から受け継いできた大切な文化である。経済効果だけで比較すべきではない』と言い切るのは、「書生論」とのそしりを覚悟でのことだろう。


 だが、しかし。
 画竜点睛を欠くというか、こんな記述もある。
 『干拓先進県のオランダでも干拓優先から、動植物の保護や景観優先の政策に変わってきている』と。


 言いたいことは分かる。
 が、オランダは「県」ではない。新聞の顔ともいえる1面コラムだけに、校正係の落ち度は痛い。


 ちなみに、17日現在で、WEB版でも訂正がない。紙面でも訂正していないのだろうか。。。