肩書き:毎日新聞

『豪華客船忍び込み… たどり着いた先はハワイ』


 3月30日、毎日新聞の記事だ。


 『神奈川県警横浜水上署は29日、横浜港から豪華客船「オーロラ号」(約7万6000トン、定員1874人)に不正乗船した東京都(略)、フリーター、池亀治容疑者(40)を建造物侵入容疑で逮捕した』というもので、横浜からハワイまで無賃乗船したものの、船内で発見され、あえなくホノルルから強制送還されたのだとか。
 で、その池亀さんは、『「大きな船に乗って遠くへ行きたかった。ホノルルへ行くとは知らなかった」と供述している』という。


 この記事、どこかで読んだことがあると思い、前日の夕刊を読み直したら、やはりあった。が、ニュアンスが若干異なる。
 東京新聞の3月29日夕刊には、『豪華客船に侵入容疑逮捕 元ゲームデザイナー』とある。
 事件の概略は同じだが、肩書きはフリーターではなく「元ゲームデザイナー」。しかも、『池亀容疑者は1989年発売の有名ゲーム「エメラルドドラゴン」の作者』との解説がなされている。
 さらに動機について、『「客船に乗りたかった」などと供述している』としながら、『詳しい動機などを調べている』とも書いて、なんらか「事情」があるのではと示唆している。


 これは、と思い、他紙を見てみた。
 読売新聞(29日夕刊)の肩書きは、毎日新聞と同じ「フリーター」で、『「海外に出たかった」と供述している』としか書いていない。
 一方、産経新聞3月30日朝刊は、「元ゲームプログラマー」との肩書きで、『池亀容疑者は平成2年に設立した人気パソコンゲーム会社の元社長』と補足説明している。


 「フリーター」「有名ゲーム作者」「人気ゲーム会社の元社長」。
 どれも間違った肩書きではないが、「フリーター」としている2紙には、「ほらね、定職に就かないような40男は、やっぱりバカだ」的なニオイを感じるのは、どうしてだろうか。
 ちなみに、朝日はこの事件を報じていない(ようだ)。
 それはそれでひとつの見識だ。
 この件が該当するかどうかは分からないが、精神障害者による事件を報じないのが、現在の日本のマスメディアの潮流=「君子危うきに近寄らず」=になっているのだから。