香典代わり:東京新聞

『鴨志田穣氏(かもしだ・ゆたか=フリーライター、カメラマン)』


 鴨が死んだ。
 3月21日、東京新聞の訃報だ。
 『20日午前5時、腎臓がんのため東京都江東区の病院で死去、42歳。』、肝硬変でも肝臓がんでもなかったのね。


 訃報を掲載する、しないの基準がどこにあるのかは知らないが(ある調査では、その7割を男性が占めるという。しかも女性の訃報の半数は”誰々の母(または妻)”というパターンで、”純粋”な女性訃報は2割に満たないらしい)、ここまでアカンたれの訃報も珍しかろう。


 『アジアを題材にしたエッセーが人気を集めた。』とあるが、「アジアパー伝」西原理恵子との共著)は、確かにいい仕事だ。が、しかし、訃報が一般紙に掲載されるには、何かが足りない、あるいは過剰な生き方だった。


 いや、ここはひとつ、絶筆となった「酔いがさめたら、うちに帰ろう。」(スターツ出版)を香典代わりに買ってこよう。
 この”私小説”の主人公は、アル中を克服するようだが。