合理的:産経新聞

『委員会の傍聴不許可は合憲 フリー記者敗訴』


 2月17日の産経新聞だ。


 『記者クラブ所属でないことを理由に、大阪市議会の委員会が傍聴を不許可としたのは違憲として、フリージャーナリスト、今井一さん(52)が市に慰謝料など120万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、大阪地裁は16日、請求を棄却した』という記事で、他紙が黙殺する中、「プリンセス・マサコ」日本語版の出版中止を報じなかった産経新聞だけがニュースとして取り上げた(東京版)。


 今井さんは05年3月に大阪市議会の財政総務委員会の傍聴を申請したが、委員長が「記者クラブだけに許可した前例がある」との理由(にならない理由)で傍聴を認めなかったという。
 『今井さんは、「市民自治に逆行する非常に危険な判決で、控訴する」と話している』そうだが、大阪地裁の判決は、たしかにひどい。


 『西川知一郎裁判長は「記者クラブ所属の記者の間で価値基準が共有され、正確な報道が担保される。重要な役割を果たしており、記者クラブ所属か否かという基準は十分に合理的だ」と指摘した』そうだが、そりゃそうだろう。
 「価値基準が共有され」た記者しかいないなら、取材される方も楽ちんで、理にかなっている。また、記者クラブ所属の新聞社にも利益があるという意味で、「合利的」でもあろう(他紙が報じなかったのが、なによりの証拠では?)。


 しかし、問われているのは合理的かどうかなどではなく、憲法に照らし合わせてどうかだ。
 異なる価値基準を共有してこそ、民主主義があり、その多様な価値基準を提示するのが報道機関の役割のひとつではないのか。


 裁判員制度は重犯罪の刑事裁判だけが対象だが、民事に関しても、行政や立法機関の違憲性を裁けないなら、国家に雇用されていない「素人」の方が100倍ましだ。


 西川知一郎裁判官、君のことだよ。