怒れよ:毎日新聞

『「産む機械」発言に怒っているわけ』


 2月1日の毎日新聞(夕刊)の記事だ。


 『女性を機械に例えた「産む機械」発言は、柳沢伯夫厚生労働相の辞任問題に発展』していることから、『「機械」よばわりされた女性3人に話を聞いた』とのこと。
 その中で、コラムニストの清水ちなみさんが、おもしろいことを言っていた。


 『女性たちの怒りを過剰反応と考える人もいる。確かに柳沢厚労相は「女性は機械だ」と言いたかったのではなく「女性は出産という機能を持っている」と言いたかったのでしょう』と理解を示しつつ、『でも女性が怒っているのは「機械」に例えられたこと自体より、「産む機能」として見られたことに対してでは』と問いかける。
 そして、『職場でも「女はお茶いれてニコニコ笑っていればいい」とか。特に常日ごろから「機能ではなく人間性を見てほしい」とモンモンとしてきた人にとって、今回の「機械」発言は許せなかったと思う』と分析する。


 なるほど。
 人は自販機じゃないから、出産一時金を与えれば子どもがポコンと出てくるわけではない。
 そのことをいかにも分かってなさそうな首相だからこそ、怒りは倍加しているのかも(前任者はそれを分かってくれそうな感じを与えていた。たとえ、「錯覚」だとしても)。


 だけど、それでも、違和感は残る。
 うまく言えないのだけど、例えば、この特集記事を担当したのは、アリサさんとアヤコさんの(たぶん)女性記者だ。
 彼女らが、率先してこの企画を立て、取材に走り、原稿を仕上げたなら、ひとつの見識だと思う。しかし、そうではなく、上司が企画し、「じゃあ、これ、女性(の記者)にやってもらうか」と役割を分担したのだとしたら…。
 その上司が女性であれ、男性であれ、「役割」「機能」の危険な境界線上に立ってはいないだろうか。


 だから、「野党の女性議員らが超党派で抗議」、なんてニュースを見ても、「なにかちがう」と思ってしまうのか。
 そうか。怒れよ、オレ! 怒れよ、男の議員! ってことか。