画期的!:産経新聞

『手話中心で聾教育』


 1月19日の産経新聞の記事だ。


 『先天的な聴覚障害を持つ聾(ろう)者への学校教育の中で、手話と書き言葉を中心とした新たな聾教育の実現を目指し、東京都が独自の教育課程を定めることができる教育特区の申請を国に行う』というもので、『特区認定後には(中略)手話中心の聾学校が全国で初めて都内に設立される』とのこと。


 これ、すごい、というか、日本のろう教育100年のなかで画期的なことなんです!


 文科省が認可するろう学校では手話が教えられていないどころか、「弾圧」といってよいほど手話が禁じられていることを、私を含めた「健聴者」は知らされていない。
 『現行の聾教育では学習指導要領を準用し、(中略)口の形から音を読み取る「聴覚口話法」による教育を主流としている』ので、少しでも声が出せるようになるために、すなわち「健聴者」に近づけるために、教師が生徒の口の中に手を突っ込んで舌の動きや口の形を覚え込ませてでも、「話す」訓練が繰り返されている。
 しかしながら、ほとんどの子は、自分の発した声(あるいは「音」)を聞き取ることはできない。
 そんな「口話」教育に力を入れるあまり、『教科への理解が進まない現状があ』り、ろう教育の現場では、ろう者は小学校3年生程度の知能しか得ることはできないという神話「9歳の壁」さえも信じられているとか。


 それはともかく、東京都では、NPOが運営するフリースクール「龍の子学園」(品川区)を支援し、特区認可後、正式な「学校」にするという。
 龍の子学園ホームページ


 なお、ここで言う「手話」は、”手話通訳”などで見かける「日本語対応手話」(日本語をそのままジェスチャーに置き換えたもの)ではなく、ろう者自身が話す、日本語とは異なった体系をもつ言語=日本手話のこと。なので、東京都では、「手話」「日本語」(「国語」ではない!)を教科に加える計画で、バイリンガル教育によって、『伝え合う力を高め、思考力や想像力、言語感覚を養うことにした』という。
 これまた画期的なことだ。