不妊カップル:朝日新聞

『体外受精児 今や65人に1人』


 朝日新聞1月18日の記事で、サブタイトルは、『一般女性の正解、11%だけ』とある。


 『不妊体験者らでつくるNPO法人「Fine」(東京都)が、体験者と一般の女性に行った意識調査で、不妊治療の実態や、生まれる子の65人に1人が体外受精という現状に、一般の理解があまり進んでいないことが浮かび上がった』というもので、不妊体験者と体験していない女性、約100人ずつにアンケートした結果だという。


 例えば、2003年の統計で、国内で体外受精で生まれた子の割合は?
 体験者は42%が正答(65人に1人)を選んだのに対して、そうでない女性は、34%が「290人に1人」を選択し、正答者は11%しかなかったという。
 ほかに、人工受精と体外受精の違いを非・不妊体験者は理解していないなどの結果が出たことから、『Fine代表の松本亜樹子さんは、「(前略)治療を特別視して偏見につながったりする心配もある。正しい知識の普及に努めたい」と話す』のは、悪いことではないだろう。


 でも。
 なぜに、このアンケートは、女性のみを対象にしているの?
 Fineのホームページを見ても、その理由説明はない。
 たとえば、不妊治療をした男性の正答率は、どんなもんだろう? 女性より正答率は高いのか低いのか、あるいは、同じなのか。
 そして、一般の男性は?
 正直に言えば、私の場合、国内での体外受精児の割合なんて、考えたこともなかったけれど、問われれば、「1万に1人ぐらい?」と答えていたと思う。


 アンケート対象を女性に限定している時点で、偏見を再生産してしまうことはないのかしら?


 それから、朝日新聞! とんでもない誤報があるぞ。
 『日本ではカップルの10組に1組が不妊治療をしているとされる。この割合を聞いた設問では、体験者は76%が正解だった』とあるが、正しくは、「不妊カップルと考えられる割合」であって、不妊治療を受けているカップルの割合ではない(「妊娠を望み、なおかつ通常の性交を2年間続けても妊娠しないカップル=不妊」という定義が日本にはあるらしい。ちなみに、EUでは1年間で不妊と診断されるとか)。


 あと、重箱のスミをつつくようだが、ひとつの記事に、体外「受精」と、体外「授精」の単語が共存しているのは、ややこしい。
 「広辞苑」によると、どちらでもいいそうだけど。