団塊論:東京新聞

『団塊は数だけが取りえ』


 1月10日の東京新聞だ。


 「ストロベリー・ロード」などで知られる作家で、現在は秋田公立美術工芸短大の学長を務める石川好さんに、「大量定年をどう生きる」と題したインタビューをしている。


 現在、あちこちで語られている団塊論は、定年後に地域へ帰ってくる人たちに期待するといったような、ヨイショする論調が多いが、団塊世代の一人である、石川さんのは、かなり毛色が異なる。


 『シニアの新しいライフスタイルをつくってくれるのではないか』というインタビュアーに対して、『彼らの存在は、日本の景気、経済上の存在でしかない』と言い切り、それでも『社会を変え得るのではないか』と食い下がる質問者に、『あり得ないね。何かやる人は、とっくにやっている。60歳過ぎて、退職してから何かやる? 中にはそういう人がいるかもしれないが、世代論としてはあり得ない』とばっさり。
 さらに返す刀で、『数が多い以外は、世代として取りえもない。大多数の人は、今までどおり優柔不断な生活を続けると思うよ』と切って捨てるにいたっては、石川さん、お酒入ってませんか? と不安にも。


 しかし、『そうたいした苦労もせず、老いさらばえていくのが、団塊の世代の末路ですよ。明るい死に方を次世代に示すことですね』とまで断言しているということは、確信犯か。


 しかし、東京新聞も困っただろうなあ。「団塊世代について新しい視点を」とか言ってインタビュー依頼して、出てきたのが、「明るい死に方を次世代に示す」ぐらいしか能がないような言い方されて。
 それでも掲載したのは、立派か、バカか。


 さらに! このインタビュー、来週17日掲載の「下」につながるそうだ。怖いものみたさとはこのことか。