防衛省昇格:東京新聞

『松坂移籍と防衛省昇格』

 12月17日、東京新聞の記事だ。

 少し以前のもので、映画監督・森達也の新聞評論なのだが、重要なことが書かれていたので、記憶にとどめるために引用したい。

 記事全体は、防衛省の昇格が事実上決定した、12月14日(参院外交防衛委員会で採決された)に、ほとんどのテレビ局がニュースで報じることなく、大リーグに移籍する松坂の60億円ばかりを報じていたというもの。
 将来、戦争が起こり、『全てが焼け野原になってから天を仰ぐ。なぜこんなことになってしまったのかと呻きながら。』と仮定し、『もしそのときに生きていたら、僕は小声でこう言おう。「なぜこんなことになったのかだって? 簡単だよ。あの12月14日に、松坂大輔の大リーグ移籍の契約日が重なったからだ」』と締めくくっている。

 で、そのラストにもってくる前に、『現行憲法の公布前、国会で吉田茂に「戦争には侵略の戦争と自衛の戦争の二つがあり、その双方を否定するのはおかしい」と質問したのは共産党の野坂参三だ』と、歴史をひもとく。
 日本共産党は、かつて(いまも?)、人民の人民による人民のための軍備を肯定していたし、自衛のための戦争は不可欠と規定していた。
 これに対し、のちに首相となる吉田茂は、『「自衛の意識が戦争を起こす」と答弁した』というのだ。

 吉田茂は、首相になってからアメリカの圧力で、警察予備隊の創設を認めるが、日本の再軍備には心底反対していたと聞く。その理由がすばらしい。
 「敗戦国が軍隊を持てば、戦勝国の使いっ走りになる」と。
 いまの政治家にはないリアリティだよなあ。。。